期間工とは「自動車メーカーや機械部品のメーカーなどに直接雇用される契約社員」のことです。
待遇が良いこと、アルバイトよりも稼げる、正社員よりも就きやすい仕事として「派遣社員」と比べられることもよくあります。
どちらも高待遇な仕事ですが、ガッツリ貯金したいなら期間工が、数年単位で続けるつもりなら派遣社員がそれぞれおすすめです。
それぞれのメリット・デメリットや、どんな人に向いているかを解説します。
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期間工は、直接雇用の契約社員
期間工とは期間限定で働く工場員のことであり、雇用形態は「直接雇用の契約社員」となります。
派遣社員やアルバイトと似たようなものと思う人も多いですが、派遣とは雇用形態が異なりアルバイトよりも高待遇であることがほとんどです。
直接雇用の期間工と、派遣社員の違い
期間工に似た働き方として捉えられたり「どちらの仕事が稼げるのか?」と比較されたりするのが派遣社員です。
期間工と派遣社員の違いを、ざっくり確認しておきましょう。
期間工 | 派遣社員 | |
---|---|---|
雇用形態 | 直接雇用 | 派遣会社からの雇用 |
時給や日給 | 派遣社員よりは低い | 期間工よりも高い |
満了金 | あり | なし |
期間工のメリット・デメリット
期間工は派遣社員に比べると「長めに働いて、ガッツリ貯金するのに向いている」といえます。
それは、期間工には次のようなメリットがあるからです。
- 3~6ヵ月おきに支給される満了金が高く、長く働くほど稼げる額が大きくなる
- 無料もしくは格安の寮に入れるため、稼いだお金を貯金に回しやすい
- 契約期間の満了で辞めれば「会社都合での退職」になるため、失業保険をすぐにもらえる
期間工には3~6ヵ月ほどの契約期間があり、この期間を満了したり更新したりすると「満了金」がもらえます。
満了金の額や支給条件はメーカーごとに異なります。
ただ、契約期間が決まっているからこそのデメリットもあり、人によっては派遣社員の方が向いているかもしれません。
- 契約を更新できるとは限らず、思わぬタイミングで職を失うかもしれない
- 働ける最長期間が決まっていて、たいていのメーカーで2年11ヵ月までしか働けない
- 次の仕事を紹介してもらえない
派遣社員のメリット・デメリット
派遣社員は期間工に比べると「短期間でお金を貯めたい人」「派遣の仕事を、数年単位で続けたい人」に向いているといえます。
それは、派遣社員には次のようなメリットがあるからです。
- 同じ事業所で3年以上は働けないが、その後も「次の仕事」を紹介してもらえる
- 期間工よりも時給や入社祝い金が高いことも多く、短期なら派遣の方が稼げることも
- 「紹介予定派遣」なら正社員を目指しやすい
同じ事業所では3年までしか働けないのは、派遣社員も期間工も同じです。
ただ、派遣社員はメーカー(派遣先の職場)の直接雇用ではなく、派遣会社から雇用されています。
今の職場で働ける期間が終わっても、派遣会社から次の仕事を紹介してもらえるでしょう。
時給や入社祝い金は期間工より高いことが多いです。
ただし、メーカーの直接雇用ではないため応募する派遣会社によって待遇は異なります。
次のようなデメリットがあることを知っておかないと、同じ仕事を悪い待遇ですることになったり、期間工ほど貯金できなかったりするかもしれません。
- 派遣会社により待遇が異なるため、よく調べないと同じ仕事を少ない給料ですることになる
- 満了金がないため、長く働くほど「期間工よりも稼げない」となりやすい
- 一定期間が過ぎると、寮費や寮での水道光熱費がかかるようになることも
- 辞めるときは「自己都合での退職」になりやすいため、失業保険をもらうまで3ヵ月かかる
直接雇用の期間工がおすすめな人は?
直接雇用の期間工がおすすめの人の特徴は以下のとおりです。
- 早めに正社員の仕事を探したい人
- 働きたい期間や貯金したい額が決まっている人
早めに正社員の仕事を探したい人
直接雇用の期間工は「早めに正社員の仕事を探したい人」に向いています。
その理由は2つあり「期間工には正社員登用があるから」と「辞めたあと失業保険を早めにもらえるから」です。
直接雇用の期間工には、たいていの場合正社員登用があります。
期間工(契約社員)として働いているメーカーで、そのまま正社員になれるかもしれないのです。
正社員登用率は、ほとんどのメーカーで10~20%と狭き門ですが「お金を貯めながら登用試験を受けてみる」「どの道、正社員の仕事も探しているのだから、ついでに受けてみる」のは悪い選択肢ではありません。
ただ、期間工が正社員登用に「すべてを賭ける」のはリスキーです。
その理由や、正社員登用を目指すうえで気をつけたいことについては、こちらの記事が参考になります。
【厳選3メーカー】期間工から正社員を目指すのは無謀?コツを徹底解説
また、期間工には3~6ヵ月の契約期間があり、契約満了で辞めれば「会社都合での退職」となります。
会社都合で辞めると、辞めた日の7日後から失業保険がもらえるので、その後の生活の不安も少ないでしょう。
期間工で貯めたお金と失業保険で暮らしながら、腰をすえて「長く続けられる次の仕事」を探せます。
期間工はいくらくらいの失業保険をもらえるのか、手続きの仕方や受給の条件などは、こちらの記事が参考になります。
失業保険は期間工でももらえる?給付の条件や手続きの進め方を解説
働きたい期間や貯金したい額が決まっている人
期間工は「働きたい期間や貯金したい額が決まっている人」に向いています。
特に「長めに働きガッツリ貯金したい人」に向いているでしょう。
期間工と派遣社員の「時給」を比べると、たしかに派遣社員の方が高いです。
入社祝い金も、派遣社員の方がたくさんもらえるかもしれません。
しかし、派遣社員には「満了金」がありません
。例えばトラックメーカーのいすゞで期間工をするなら、3ヵ月おきに21万円の満了金がもらえ、3年間の総額は最大で245万円にもなります。
また、期間工として働いている間は、無料もしくは格安の寮で生活できます。
派遣社員で寮があることもありますが、「半年目までは寮費無料」のような条件付きなことが多いです。
長く働くなら、満了金と「寮に入って節約できる生活費」の分、期間工の方がたくさん貯金できるでしょう。
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期間工よりも派遣社員がおすすめな人は?
期間工よりも派遣社員がおすすめな人の特徴は以下のとおりです。
- とにかく長く働きたい人
- 派遣から正社員を目指したい人
とにかく長く働きたい人
派遣社員には、「とにかく長く働きたい人」が向いているかもしれません。
「長く働くなら期間工の方がお金を貯められるんじゃないの?」「直接雇用の期間工の方が、安心して長く働けそうだけど…」と思う人もいるでしょう。
たしかに、これらの疑問はもっともです。
しかし、期間工には最長2年11ヵ月の縛りがあり、3~6ヵ月の契約期間も最後まで更新してもらえるとは限りません。
派遣社員も同じ職場で働ける期間は3年までですが、その職場での仕事が終わったあとは派遣会社から次の仕事を紹介してもらえます。
契約更新の心配をしたくない人、3年以上働きたい人には、派遣社員の方が向いているかもしれません。
派遣から正社員を目指したい人
派遣社員には「派遣から正社員を目指したい人」も向いているかもしれません。
「直接雇用で正社員登用もある期間工の方が、正社員を目指しやすいのでは?」と思う人もいるでしょう。
ただ、期間工の正社員登用率は10~20%ほどと狭き門ですし、登用試験を受けるには1年ほどかかることが多いです。
期間工から正社員登用を目指すのは、あまり地に足の着いたアイデアとはいえません。
しかし派遣社員には「紹介予定派遣」というものがあります。
これは「派遣期間を終えてから、直接雇用を結ぶ前提」での派遣です。
直接雇用を結べるかどうかは派遣期間の働き方をみて決められるため、確実とはいえませんが、登用率10~20%の登用試験を受けるよりは現実的といえるでしょう。
同じ直接雇用でも、期間工より正社員の方が良い!
期間工はメーカーからの直接雇用ですが、同じ直接雇用なら正社員の方がいいに決まっています。
期間工から正社員になると、一時的に手取りは下がります。
満了金がなくなったり、寮費がかかるようになったりするからです。
期間工には「働ける最長期間が決まっている」「いつ契約終了になるかわからない」といったリスクもあるため、その分給料も高いです。
ただ、正社員は「ここで、いつまで働けるだろうか」と心配することはありません。
昇給や昇進もあるので、数年もすれば、期間工よりも稼げるようになります。
生涯年収や安定した収入源、老後の安心で考えれば、確実に正社員の方がいいです。
期間工として働くメーカーで、正社員登用を目指しながら、「ダメだったときの転職先」も探しておきましょう。
【厳選3メーカー】期間工から正社員を目指すのは無謀?コツを徹底解説
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