期間工とは、期間限定で働く工場員のことをいいます。雇用形態はメーカーからの直接雇用で、アルバイトや派遣社員と比べて、短期間でまとまったお金を貯められます。
本記事では期間工が貯金に向いている理由や、働くうえでの注意点を紹介します。期間工を続けられる期間や、いつまで続けるべきなのかも解説するので、応募する前に確認してみましょう。
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期間工とは、期間限定の契約社員
期間工とは、期間限定で自動車工場や家電工場、電子部品製造工場などに勤務する契約社員のことです。メーカー企業からの直接雇用ではあるものの、契約期間や、契約更新できる回数は決まっています。
ずっと続けられる仕事ではないため、あくまでも貯金のためにするもので、次の転職のことも考えなければなりません。
期間工は派遣社員やアルバイトに似たものと思われがちですが、厳密には異なります。ほかの雇用形態と何が違うのか、ザッと確認しておきましょう。
派遣社員との違い
期間工と派遣社員の最大の違いは、「どこに雇用されるか」にあります。企業から直接雇われるのが期間工であるのに対し、派遣社員は派遣会社に雇われ、勤務先の企業に派遣されます。期間工と派遣会社を比べると、それぞれ次のようなメリットがあります。
【期間工のメリット】
・支給総額が高い(給料以外の手当が充実)
・寮費、水道光熱費無料の寮に入れることが多い
・自己都合退職になりにくく、失業保険を早くもらいやすい
【派遣社員のメリット】
・時給が高く、日給だけで見ると期間工より高待遇
・契約期間が終わっても、次の派遣先を紹介してもらえる
・紹介予定派遣なら、正社員を目指しやすい
アルバイトとの違い
期間工とアルバイト(同じような仕事をする工場員を含む)の最大の違いは、「待遇の良さ」でしょう。どちらも企業から直接雇われていることに変わりはありませんが、時給や日給はもちろん、その他の待遇にも大きな差があります。
アルバイトには「契約期間の定めがなく、基本的にずっと働ける」というメリットはあるものの、ほかの点を見ると期間工の圧勝といわざるを得ません。たとえ同じ仕事をする工場員であっても、です。
【期間工の待遇とは?】
・アルバイトより、そもそもの時給や日給が高い
・寮費、水道光熱費無料もしくは格安の寮がある
・契約期間の満了や更新ごとに、満了金がもらえる
・入社祝い金がもらえることもある など
期間工の主な仕事内容
期間工とは、「期間限定で働く工場員」のことです。そのため仕事は工場内での作業がメインとなり、力仕事や細かい作業をすることとなります。
具体的な仕事内容は、「どんな物を作っている工場で働くか」により大きく異なります。工場(メーカー)選びを間違えると、体力的な負担が大きく仕事を続けられなかったり、思っていたより稼げず長く期間工を続けなければならなくなったりするでしょう。
期間工を募集している「車体メーカー」と「部品メーカー」の仕事内容や、待遇の違いを紹介します。
車体メーカーの仕事
車体メーカーとは、「完成車」を作るメーカーです。鉄板をプレスして自動車ボディの形にしたり、そのボディにエンジンやシートなどの部品を組み付けたりします。そのため重い物を持つことや無理な姿勢を取ることも多く、仕事そのものはキツいでしょう。
ただ、仕事がキツい分待遇も良いです。部品メーカーに比べると日給や満了金の額が高く、短期間でかなりのお金を貯められるでしょう。
【車体メーカーの例】
・トヨタ
・いすゞ
・三菱 など
部品メーカーの仕事
部品メーカーとは、自動車や電子機器などの部品を作るメーカーです。車体メーカーで使うエンジンやシートなどの「自動車部品」、スマートフォンや精密機器に使う「小さなパーツ」など、メーカーにより作っている物は異なります。
どんなものを作るかにより仕事のキツさも変わりますが、肉体的には車体メーカーよりも楽です。ただし、その分待遇は見劣りします。
無理せず続けてコツコツ貯金したい人には部品メーカーが、体力に自信がある人や短期間でガッツリ稼ぎたい人には車体メーカーが、それぞれおすすめです。
【部品メーカーの例】
・デンソー
・アイシン精機
・村田製作所 など
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期間工をするメリット
期間工は派遣社員やアルバイトと比べて、短期間でたくさんのお金を稼げます。それは、期間工には次のようなメリットがあるからです。
【期間工をするメリット】
・日給が1万円前後と高い
・3~6ヵ月おきに、数万~数十万円の満了金がもらえる
・メーカーや応募のタイミングによっては、数十万円の入社祝い金がもらえる
・寮費、水道光熱費無料もしくは格安の寮に入り、生活費を抑えられる
・契約満了で辞めれば「会社都合による退職」になるため、失業保険をすぐに受給できる
期間工をするデメリット
期間工なら短期間で、かなりの金額を貯められます。無料もしくは格安の寮に入れるため、節約しやすさ、貯金しやすさでいえば正社員を超えることもあるでしょう。
ただし、期間工には次のようなデメリットもあります。期間工はずっと続ける仕事ではありません。デメリットを把握し、「次の仕事はどうするか?」を考えておきましょう。
【期間工をするデメリット】
・ほとんどのメーカーで、働ける期間は最長3年
・契約更新ができず、3年経つ前に退職せざるを得ないこともある
・職歴として有利に働くものではないため、長く続けるほど転職しづらくなる
・力仕事メインで交替制勤務が基本なため、肉体的にキツいものがある
期間工はどのくらいの期間続けられる?
期間工はどのくらいの期間続けられるのか、また、どのくらいの期間続けるべきなのでしょうか。期間工を続けられる期間と、その後の転職を考えた「期間工としての上手な働き方」を解説します。
基本的には、一度の契約で最長3年間働ける
たいていのメーカーでは、一度の契約で最長3年間、期間工として働けます(厳密には2年11ヵ月)。期間工の契約期間は3~6ヵ月であることが多く、この期間で契約更新を繰り返しながら働くこととなるでしょう。
ただ、一部には最長の契約期間が3年以上のメーカー、期間工から無期雇用への転換ができるメーカーやそもそも最長期間が定められていないメーカーもあります。
最長3年、1回だけ期間工をするのがおすすめ
期間工として働けるのは、一度の雇用で最長3年間が基本です。他メーカーに応募したり、同じメーカーでも契約満了から一定期間をおいたりすれば、再び期間工として働けます。
ただ、「期間工として働くのは最長でも3年、一度辞めたら次は正社員の仕事を探す」と決めておくのがおすすめです。
期間工は働ける期間が決まっていること、肉体的にキツいことから、ずっと続けられる仕事ではありません。目先のお金だけで考えれば高待遇ですが、昇給や昇進などの「将来的なお金」も考えれば、そこまで稼げる仕事とはいえません。
期間工はあくまでも貯金のためと割り切り、辞めた後にどうするのか、貯金を使って何をするのかは考えておきましょう。
契約期間の途中で退職したらどうなる?
期間工には3~6ヵ月の契約期間が設けられていますが、この契約期間の途中でも、仕事を辞めることはできます。
ただし、契約期間の途中で辞めることはおすすめできません。満了金がもらえないことと、失業保険の受給までが長くなることが理由です。
期間工は契約期間が満了するたびに、「満了金」という手当がもらえます。満了金の額はメーカーにより異なりますが、低くて6万円、高くて50万円ほどが、給料とは別に受け取れます。「契約満了まで続けるだけで、数十万円をもらえるメーカー」がほとんどなので、契約途中に辞めるのはかなりの損です。
契約満了時に辞めれば、それが自分の意思でも会社の意思でも、「会社都合による退職」となり、退職後すぐ(7日後)に失業保険がもらえます。ただし、契約期間の途中で自らの意思で辞めると「自己都合退職」となり、失業保険は辞めてから2ヵ月7日後からになってしまいます。
契約期間が満了したらどうなる?
期間工の契約期間が満了すると、退職するか、契約を更新するかになります。このタイミングで退職すれば会社都合の退職となり、辞めた7日後から失業保険を受け取れます。その意思が自分にも会社にもあれば、契約を更新し、同じ期間だけまた働けるでしょう。
ただ、契約更新できる最長期間(たいていの場合2年11ヵ月)だった場合は契約を更新できず、退職しなければなりません。
いずれの場合も、「出勤率〇%」といった条件を満たしていれば、満了金が受け取れます。
貯める金額と続ける期間を決めてから、期間工をはじめよう
期間工は働ける期間が決まっていることからも、力仕事や交替制勤務による「肉体的な負担の大きさ」からも、ずっと続ける仕事ではありません。期間工をするときは、応募する前に、どのくらいのお金をいつまでに貯めるのかを決めておきましょう。
目標の金額と期間が決まっていないと、節約や貯金にも身が入りません。ズルズルと期間工を続けてしまえば、年齢が高くなった分、次の転職も不利になるでしょう。
今は「次はこんな仕事がしたい」「貯めたお金で資格を取ったり、自分のビジネスを始めたりしたい」といった目標が定まっていなくても構いません。しかし、期間工でお金を貯めながら、次のビジョンを少しずつでも固めていってください。
期間工の仕事は上手に使えば、「人生を変えるための突破口」になり得ます。
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